医師の転職は求人サイトを上手に使うことがキー

医師の転職では求人案件の見極めが肝要。タイか日本か?

タイの医療施設に勤務する医師は、大部分が現地の患者向けではなく、現地に駐在している邦人用のクリニックです。このため、流ちょうにタイ語や英語を話せる必要はなく、日本語で十分です。勤務地としては、9割以上が首都バンコクとなっています。これは日系企業が非常に多いことが主要因であり、ハンセン氏病などの難病治療だけでなく、予防接種や健康診断のニーズが絶えません。また、海外勤務者の特徴として、現地での生活に慣れることができず、うつ病などの精神疾患を患う比率は日本国内よりも多いため心療内科や産業医の求人も豊富です。

タイの病院での求人と転職の現状

タイで多い医師の求人と転職に有利な科目

タイで日本人医師に求められるのは高度医療ではなく、日常の健康管理や軽度の疾病に対する投薬です。このため、一般内科と小児科の求人が多く、年収や休暇などでも厚遇の転職案件が目立ちます。

タイの病院での求人と転職で多い予防接種業務

タイと日本の違いで医師が気をつけるべき治療の差

全般的に言えることですが、同じアジアであるにも関わらず、タイでは治療における投薬量が日本より多めになっています。このため、残留邦人の治療に際しては、現地の基準量よりも控えた処方をしなくてはなりません。また予防接種についてもマラリアなど、国内では存在しないワクチンを扱うため注意が必要です。渡航に際しては、法務省の入出国記録開示をご参照ください。現在、北朝鮮情勢の影響で、アメリカやアジアはリスクが高まっていますので、日本国政府タイ政府の情報(日本語版)にも目を通しておくべきでしょう。

タイのバーツと日本円の交換

1バーツは約3.4円です。このため上の写真にあるインフルエンザ予防接種の場合、1,100バーツですから、4千円弱になります。日本の平均的な値段と比較して高いのは、タイ国内では日本の医療保険がきかないためです。しかしながら、これは支払った後で、雇用者から保険分が返金されるので、実質的な負担額はタイの方が安いのが現状です。一方、診療報酬は補填されるわけではないので、年収で考えるとどうしても日本の病院よりは安くなります。この点、現地企業の産業医であれば国内での給料に海外勤務費が上乗せされるので、タイの方が高い収入となります。

とは言っても、日本のように年収1千万円超というようなレベルは見込めませんので、高収入を前提とする医師には不向きです。また、日本や欧米のような高度医療が発達して入るわけではありませんので、医師としてのスキルを磨くことは頭から消した方がよいでしょう。むしろ、タイで働いている間は、他の医師と比べてスキルを伸ばす機会損失になると考えるべきです。

タイへ医師として転職するのであれば、なんらかの魅力をタイに感じているか、医師としてアジアで役に立ちたいという強い意志が無ければ、あとで後悔することになります。この点については、軽率に求人に応募する前に、しっかりと自分の意思を固めておくべきです。

これはタイに限った話でなく、海外の医療施設で働くうえで、最も重要なポイントです。

日本国内で転職するのであれば、このサイトを参考にするとよいでしょう。

今月の医師の求人と転職の比較

海外への転職を望む医師にとってタイの求人の魅力

海外の病院への転職を希望する医師の中で、欧米と並んでタイが候補とされる理由は、アジア圏においては、タイが最も医療が進んだ国だからです。平均寿命や医療費などから算出される医療制度のレベルはオーストラリアやドイツとほぼ同じ水準となっています。これは医療施設の大部分が税金で賄われている公立であることと、基本の自己負担額は30バーツ(約100円)であるものの低所得者は一切無料という国策によるものです。

こういった医療の充実度で見ると意外にアジアは水準が高く、Bloombergによると

  • 1位:香港
  • 2位:シンガポール
  • 3位:イスラエル
  • 4位:スペイン
  • 5位:韓国
  • 6位:イタリア
  • 7位:日本

となっています。

高度医療のスキルを極める道を選ぶのか、安定した高収入を選ぶのか、それとも医師として求められる地に赴くのか、今一度、しっかりと考えてみるようにしてはいかがでしょうか。