生物多様性の原点 水際の環境改善

国民の生命・財産・暮らしを守るため、川は直線化され、堤防に挟まれ、コンクリート護岸で守られてきました。また、水の利用が増えて川の水量が減るなど、川の生き物は減り続け、2013年の環境省レッドデータブックによれば汽水淡水魚(対象400種)の内、約4割の魚種が絶滅危惧種となりました。さらに2014年にはニホンウナギがIUCN(国際自然保護連合)により絶滅危惧種に指定されました。
平成9年の河川法改正では「治水」「利水」と並んで「環境」を目的とする総合的な河川制度の整備を行うこととなり、一定の成果を上げてきましたが、これまで見過ごされてきた既設コンクリートの護岸には水際植生(エコトーン)の再生が望まれます。このような背景から短期間・低コストでできる「ネコヤナギ・エコ工法」は生まれました。

無機質な水辺

無機質な水辺

「ネコヤナギ・エコ工法」による水際植生(エコトーン)の再生

「ネコヤナギ・エコ工法」による
水際植生(エコトーン)の再生


ネコヤナギってこんな木

ネコヤナギ(学名:Salix gracilistyla)は、ヤナギ科ヤナギ属の落葉低木。北海道から九州の山間部の渓流から町中の小川まで、広く川辺に自生しています。早春に他のヤナギ類よりも一足早く花を咲かせ、春の訪れを告げます。銀白色の毛で目立つ花穂がネコの尾に似ていることから「ネコヤナギ」の和名がつきました。

他のヤナギ類よりも水際に生育し、水に浸った枝先や株元から水中根を下ろします。初夏には綿毛につつまれた種子(柳絮(りゅうじょ))をふわふわと飛ばします。高さは3mほどで柔軟な枝を株元からたくさん出します。変化の大きい河川環境でいち早く成長し、増水や乾燥にも強く、陸域と水域の境界に育つ低木です。水際(エコトーン)の重要な植物ですが、近年の護岸整備により地域によっては絶滅危惧種となっています。



ネコヤナギ・エコ工法の手順!
ネコヤナギ・エコ工法の手順!
  • コンクリート護岸面に水抜き穴程度(φ75)の穴をあけ、植栽用竹ポット(ネコヤナギの穂を挿し、砂を充填)を竹くさびで固定する。
  • その際、根を張るスペースとなる。裏込め材まで穴を貫通させる。
  • 底に吸出し防止材を設置する。
  • 竹ポット周辺に砂を充填し、水が供給できるようにする。






ネコヤナギ・エコ工法で生き返る水辺 3つの効果
河川生態系の改善
河川生態系の改善
河川景観の改善
河川景観の改善PDF
水辺の安全性改善
水辺の安全性改善PDF

施工位置図

<技術指導>松本技術コンサルタント株式会社 TEL:0979-23-3636(担当/秋本)
<施工協力>内山緑地建設株式会社 TEL:0943-72-2138(担当/吉岡)